キジ猫の雑記帳

行き場のない野良猫の生活と意見です

「仮面ライダー響鬼」路線変更問題への試論めいた雑感1

今回は仮面ライダー響鬼について書こうと思う。このネタは中々、物入りで書き始めかねてたのだが、書いてみようと思う。一度片付けておかないと、私にとって、これは次のことがなかなか捗らない案件なのである。

ふれてみようと思ったきっかけは先日カブトのあらすじをチェックするのにwikiにあたってみて、まだ不明な点があったのでニコニコ大百科でカブトの項目をみていて掲示版の議論をあたっていたら、響鬼に触れたレスがいくつかあって、私も未聞の内容だったので、大魔神カノンの放送の頃からチェックしていなかった、あれから幾分響鬼についての新しい証言が追加されたていたことを知り、その内容(webだからまた聞きではある)に目を通していると、その印象と放送終了の頃からモヤモヤしてた拘泥に形を与えたくなってきて何か、言いたくなってしまった。

 

あと但し書きですけど、言及する作品をすべて全編を通して観ているわけではありません、放送時の記憶、あといくらかネットの投稿でのつまみ観、また各エピソードではネットに転がっている各話感想の批評からの描写の確認から出来上がっているので、満を尽くしたものではありませんし、本編を視聴したあと考えが変わる可能性もあるのですが、そういう準備不足ながらも考えをまとめたものであることをお断りしておきます。

 

そういうわけで響鬼wikiを見てみたら、元東映の高寺Pも参加している『語ろう!555 剣 響鬼』 (カンゼン〈永遠の平成仮面ライダーシリーズ〉)みたいな本とか、既に既刊だが2010年ごろには気付かかなかった片岡力『「仮面ライダー響鬼」の事情 ドキュメント ヒーローはどう〈設定〉されたのか』 (五月書房)みたいな参考資料があって微妙に作品の評価の像が以前と変わっていた。企画の経緯についての証言、後半の構想への言及があったのは発見だった。

ところで響鬼で議論を呼ぶのはやはり中盤での路線変更で、なぜ降板が起こったのか、降板後の後半をどう評価するか、降板が起きなければどういう展開だったのかなど、議論の対象はそれぞれあると思う。ここでは後半をどう評価するかは置いておく。実はあまり興味ないし、後半のスタッフはよく頑張ったと思っている。ここで対象にしたいのは降板が起きるにせよ、そうでなかったにせよまず構想の問題、そして降板がなかったとしたら、後半の構想がどんなものだったのかという問題なのだが、wikiの修正は長年感じてきたこの疑問に些かの照明を与えてくれた気がするのである。

 

・構想の問題

 まず結論からいうと、留保やら条件をすっ飛ばしていうと響鬼という作品の主役は明日夢君である。実際これは明日夢のオーディションで役者を見たことの直感から、明日夢君が弟子にも鬼にならないという方向性を高寺Pが思いついたという逸話があって、それが物語の選択肢の一つになったとき生まれた可能性なのだろうが、29話まで観ると結局それが選ばれ現実になったんだと思っている。でも実際は明日夢いらない子かなと思う視聴者も少なくない存在感だった。

私自身はどうかというと前半の中学生日記みたいな雰囲気は面白かったと思っている。高校生の日常的な悩み、問題に明日夢君が当事していくドラマと鬼の魔化魍退治を平行して描く構成はどちらがで主従というわけでもなく、視聴している子供、思春期までの視聴者に生きていくことについてのあってほしい期待を期待である限りにおいての押し付けがましさのなさで描いていて、視聴者の子供へ番組を送り出す大人の責任への姿勢が窺えて好意的だった。もっともこの姿勢がおっさんを慰撫していると非難されるのだけれど、そんな期待が偽善だと言う側にしても責任とよばれるものを忌避して子供であることに居直っているに留まっていることがしばしばだし、子供である限りの真摯さと誠実さでそれをやっているならいいのだが、快楽と生活への権利を行使した大人の悪ふざけに往々にして堕してしまうことも同じくらい問題だろう。結局はどちらの悪趣味を選ぶかという趣味の問題に過ぎず、表現として成立していれば結果オーライなのだが、響鬼はなんとか成立していたと思うのだ、私は。

しかし、あのまま一年間完走できたかは微妙だし、明日夢いらない子と多くの視聴者も感じていて、二つのドラマを平行させて進行させる手法も視聴者に意味が伝わってなかったと思う。じゃあ、なんでこんなバクチをしたのか、オーディションで明日夢君役の栩原さんを見たとき、弟子ものとかバディものみたいな元の企画の主旨を放棄して、中学生日記をヒーローものと並行するような肌合いのドラマを選んだのか、ということを考えたいと思う。主人公を明日夢君だと考えてみたい理由もそこにあるのだ。

そしてその選択の避けようのなさを説明するためにはクウガがどんなドラマだったを振り返ってみる必要があると思うのである。

 

 

キリがいいのでここで区切ります。長々しい前置きは既に済ましたので次はコンパクトに収めたいです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。